地上を白い深霧が覆い、人々が山より巨大な生き物「国獣」の背に町と国を築く世界。

下層の修繕工レンは、故国を背負う国獣ラグナの骨を叩き、誰にも聞こえない声を聞く。

――痛い。九十日しかない。

異常を隠す王国、国獣の声を消す黒い釘、滅びた国の地図を持つ逃亡者ミラ。ラグナを救うため故郷を飛び出したレンは、霧を泳ぐ市場、森を産む母獣、衝突する砂の二国、空を渡る修道院を巡り、人間が忘れた最初の契約を集めていく。

だが、ラグナが望んだのは延命ではなかった。

「直すな。国を降ろして、俺を帰らせろ」

壊れたものは元へ戻せる。そう信じてきた修繕工が、終わる命と移りゆく故郷を前に、直す、外す、渡す、見送るという別々の仕事を覚える物語。
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