タクミが異世界に迷い込んで、十年が経った。

誰とも組まず、言葉は今もカタコトのまま。
迷宮で拾った一本の棍棒を頼りに生き延び、気づけば特級冒険者と呼ばれるようになっていた。

それでも、故郷へ帰ることは諦めていない。

帰る手掛かりを求め、今日も迷宮の奥へと潜る。
だが、異世界で過ごした月日は、いつしか彼にもう一つの居場所を作りつつあった。

これは、帰り道を探し続ける男の物語。